ミックスとマスタリングの違いとは?
ミックスとは、ボーカル、ドラム、ベース、楽器といった楽曲の各トラックの音量、音色、空間を調整し、1つのステレオミックスにまとめる工程です。マスタリングは、完成したミックスを全体として仕上げる工程です。音のバランス、ラウドネス、ピークレベルを整え、どんな再生環境でもよく聴こえ、ストリーミングプラットフォームに出せる状態にします。ミックスが曲の形を作り、マスタリングが曲をリリースできる状態にする、と覚えておきましょう。
ミックスでは何をする?
曲がどう聴こえるかは、ミックスで決まります。どのトラックを前に出すか、ボーカルと楽器が周波数帯域をどう分け合うか、ステレオ空間のどこに何を置くか、リバーブやエフェクトをどれだけかけるか。代表的なツールは、レベル、パン、EQ、コンプレッション、リバーブ、ディレイ、オートメーションです。ミックスでは多くのトラックを同時に扱うので、マスタリングではもう手が届かない問題もここで解決できます。たとえば、ボーカルが小さすぎる、キックとベースがぶつかっている、といった問題です。
マスタリングでは何をする?
マスタリングで扱うのは、完成したステレオの2ミックスだけです。音のバランスを細かく整え、ラウドネスとダイナミクスを調整し、ストリーミング用フォーマットに変換したときに歪まないようピークレベルを抑えます。EPやアルバムでは、すべての曲のラウドネスと音色がそろうようにする役割もあります。最後にできあがるのが、配信サービスにアップロードするファイル、つまりほかのすべてのフォーマットの元になるマスターです。
ラウドネスとトゥルーピーク:配信で大事な数値
ストリーミングサービスは、曲ごとのラウドネスをLUFSで測って揃えています。極端に音圧を上げてマスタリングした曲は音量を下げられ、大きく聴こえるどころかダイナミクスだけを失います。ですから、できるだけ高い数値を狙うより、ノーマライズされたときによく聴こえるマスターのほうが大切です。ピークレベルについては、Spotifyはエンコード時のクリップを防ぐため、トゥルーピークを−1 dBTP未満に抑えることを推奨しています。音圧がかなり高いマスターでは、さらに余裕を持たせるのが賢明です。
マスタリングで悪いミックスは救える?
限界があります。マスタリングで全体の音を良くすることはできますが、個々のトラックを狙って変えることはもうできません。ミックスでボーカルが小さすぎれば、マスタリングでは他のすべてと一緒に大きくなるだけです。だからこそ、ミックスの問題はマスタリングに回す前に解決しておきましょう。また、ミックスにはヘッドルームを残しておくこと。すでにリミッターに張り付いたミックスでは、マスタリングの余地がほとんどありません。
AIマスタリングが向いている場面
AIマスタリングは、あなたのミックスを分析し、ジャンルのプロファイルや好きな音の曲といったリファレンスに合わせて調整します。速くて手頃で、多くのリリースで配信に十分な安定した仕上がりが得られます。とても個性的なプロダクションや、ダイナミクスの大きいアルバムでは、経験豊富なマスタリングエンジニアに分があります。OGRECORDS™のAIマスタリングでは、採用する前にオリジナルとマスターをA/B比較で聴き比べられます。
よくある質問
ミックスとマスタリング、どちらが先ですか?
必ずミックスが先です。マスタリングは完成したステレオミックスをもとに行う、リリース前最後の音づくりの工程です。
ミックスもマスタリングも自分でできますか?
はい。多くのインディーアーティストが両方を自分で行っています。少し時間を置いて、ヘッドホン、モニター、スマホなど複数の再生環境で確認するだけでも、仕上がりは大きく変わります。
Spotify向けのマスターはどれくらいの音量にすべきですか?
決められた値はありません。Spotifyは標準で約−14 LUFSにノーマライズするので、その付近のマスターはほとんど変化しません。多くのジャンルではもっと大きくマスタリングされています。大切なのは、ノーマライズ後によく聴こえることです。
ステムとは何ですか?
ステムとは、ミックスをパートごとにまとめたもので、たとえばドラム全体、ボーカル全体、シンセ全体を別々のファイルにしたものです。ステムマスタリング、リミックス、Atmosミックス、シンクライセンスで必要になります。
配信用のマスターにはどのファイル形式が必要ですか?
ストリーミング向けのリリースでは、16bit/44.1kHz以上の非圧縮WAV(またはFLAC)が標準です。多くの配信サービスはより高い解像度も受け付けています。MP3をマスターとしてアップロードするのは絶対にやめましょう。ストアでさらにエンコードされるたびに、音質がいっそう劣化してしまいます。